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IP無線機

エリアが広く免許不要!気軽に広域通信ができるIP無線機

数百メートルの範囲内における無線通信で間に合えばいいですが、広域で無線を行いたいという場合もあるはず。しかし、無線従事者を配置し、無線局の免許を取得して、本格的に広域で通信を行うとなると、ちょっと大変・・・

そこで今回は全国レベルの広域で無線通信が行える上に、免許の取得が不要なIP無線機を紹介したいと思います。手軽に広域の無線通信を行いたいと検討している人には、最適な通信手段かもしれません。ぜひともチェックしてみてください。

IP無線機とは?

IP無線機は携帯電話網を利用した無線通信機

IP電話はインターネット網に相乗りをして電話通信を行う通信手段を言いますが、IP無線機は既存の携帯電話網に相乗りして無線通信を行う通信機器を言います。具体的にはau、SoftBank、docomoの電話回線を利用して、音声をパケットデータに変換し、通信網に乗せて広域で無線通信を行います。

各社の携帯電話が利用できる場所であれば、無線通信が無制限で可能です。各社の携帯電話は人の暮らす主要なエリアであればほとんど全国をカバーしていますから、山岳地帯などを除いて、ほぼ日本全土と言ってもいい規模の広域エリアで無線通信ができるようになります。

電波が安定している

従来の無線機であれば、電波状態に大きく左右され、うまく通信できない場合が多くありました。例えば、従来の無線が弱い場所と言えば、ビルの密集地隊、地下道といった場所です。今使っている携帯電話であれば、このような場所でもストレスなく通信出来ると思います。それが、IP無線でも活用されるので、電波が安定していると言えるのです。

免許は不要

IP無線機の特長は、無線従事者の配置や無線局の免許を取得する必要がないというハードルの低さにあります。自前のアンテナを設置するなど、大規模な設備投資も不要。利用を希望する事業者は、携帯電話各社と定期契約をするだけになります。それだけの登録作業ですぐに全国規模の無線通信が行えるようになるという利便性は、業務用無線、デジタル簡易無線の免許局などには期待できません。

相互通信が可能なものが多い

IP無線機の特徴は、相互のコミュニケーションが可能な機種が多いということです。従来の無線機の場合、相互のコミュニケーションを同時で行うことは不可能でした。どちらかが会話を終えるまでは、その会話を聞かなければなりません。しかし、相互通信が可能なので、会話が終わるまで待っている状況もなくなり、リアルタイムで会話をしているような感覚で、コミュニケーションをとることができます。IP無線機では、このような相互通信が可能なものが従来の無線機に比べて多くなっているので、様々な現場でも活躍する場が多くなると期待されています。

混信とは無縁の無線機

IP無線機は混信の心配も基本的にありませんから、便利です。特定小電力無線はもちろん、デジタル簡易無線の登録局など、免許が必要ない手軽な無線は、混信の問題が発生します。都心部で多くの人が無線通信を行っているような環境下では、簡易無線であっても混信が問題となるのですね。

その点、IP無線機に関しては、音声をパケット化して特定のIPアドレスにダイレクトで送信しているため、混信が物理的に発生しないというメリットがあります。

IP無線機のデメリットは?

ただ、デメリットもあります。携帯電話通信が災害時にストップしてしまうように、通信が集中するような非日常の出来事、イベント時にはビジー状態になってしまうという弱点があります。通話と違って、IP無線は音声をパケット化して相手のアドレスに直接送信するため、通話よりはビジー状態になりにくいですが、それでも専用の周波数を与えられているような一般業務無線の安定度には劣ります。

通信料金が毎月発生する

IP無線機は基本的に、パケットを使い放題のスマートホンに契約するようなイメージです。アンテナの設置などは不要ですし、無線機器などもリースが豊富にそろっているため、初期投資は不要です。しかし、毎月の使用料が発生します。また、長期利用を前提としているため、途中解約に違約金が発生するなどの問題もあります。長期的に頻繁な利用を見込んでいるが、免許を取得して、大規模な設備投資をするほどでもない事業者においては、便利な無線通信だと言えそうです。

購入する場合の主な価格帯

IP無線を導入するのは良いものの、気になるのは価格なのではないでしょうか。IP無線を行うためには、幾つかの機器が必要になります。営業所や指令室に置かれる固定型無線機、車載型で営業車やトラックなどに搭載される移動型無線機、さらには現場作業員などが手に持って使用する携帯型無線機など。

オープン価格も多く、機器の種類も豊富で一概に価格が言えないのですが、相場としてトランシーバーなど携帯型無線機は5~25万円、車載型など移動型無線機は、15~50万円といったレベルになります。

例えばスマホのようなデザインの城山A-TT00の携帯型IP無線機は、オープン価格ですが、相場として12万円前後となっています。オープン価格のため、導入する企業によって価格は様々なので、まずは気になるメーカーのIP無線を見つけたら見積もりを出してもらうようにしましょう。導入するべき台数と、導入するシステムを入力すれば、見積もり価格を提示してくれるところが多いので、一度連絡をすることをおすすめします。

ここ最近では、長期レンタルを取り入れている企業も多くいます。年間契約にすると、1台あたり2年で3万円〜5万円という相場です。1週間のレンタルの相場が、7000〜8000円くらいで提供している企業が多いので、購入型ではなく、レンタルに切り替えて借りるのも良いでしょう。レンタルにする場合、レンタル会社が故障した際に、サポートしてくれるので購入よりも安心して利用することができます。もちろん、用途いよっては購入型の方が良い場合もあるので、検討する際は、どちらの方がメリットがあるかを考えて検討しましょう。

使用用途について

初期投資を抑え、免許も取得せずに広域で使用したい事業者に適した無線機になります。ただし、海上や山間部など、携帯電話が通じないエリアでの使用は不可です。また、大規模なイベントの警備などでは、パケットの使用が集中してビジー状態になるケースも考えられるため、避けた方が無難だと考えられます。とはいえ、具体的にどのような事業者で使うことが出来るのか、イメージ出来ない人もいます。そこで、様々な使用用途があるので、様々なシチュエーションを例に紹介していきましょう。

1、トラックの荷物配送(指令センターと車の連絡)

トラックの配送は、IP無線ととても相性が良いと言えます。その理由は、IP無線の特徴の1つでもあるGPS機能と、個別にリアルタイムでの通信が出来るということです。また、広範囲での通信が可能という点です。トラック輸送では、道路状況により荷物の遅延が考えられます。道が普段通りであれば問題ありませんが、悪天候で道路が封鎖された場合。現地のドライバーはどうすることも出来ない状況があります。そんな時に指令センターで、周辺の状況を把握することができれば、ドライバーに迂回ルートの提示をする、また空いているトラックに別の仕事を依頼してカバーしてもらうことが可能です。また、スーパーやコンビニといった商品を扱うお店では、在庫切れは売上に大きく影響が出来ます。在庫状況を店舗間でやりとりをすることで、どのお店が今在庫を切らしているのか。そして、他のお店から補填することが可能か等を連絡することができます。これも、IP無線機の広域を連絡取り合う機能を活用すれば可能なので、オススメです。

2、長距離バス(遠くに離れた運転手との連絡)

バスの中でも、長距離バスは確実な連絡をしなくてはいけない業種の1つです。平成26年5月1日よりトラブル発生時に乗務員に対して適切な措置をしないといけないという「運行管理制度の強化」※が定められました。これにより、無線機でのやりとりはバスでは必須になりました。様々なシステムがある中でもIP無線の無線システムは、バスに適しています。広域の範囲をカバーすることが可能なので、高速バスに指示を出すことも可能です。ただし、山間部では繋がらない可能性があるので、他のものと併用するとより確実な通信をすることができます。また、バスに緊急事態が起きた場合は的確な指示を出すことができたり、道路交通状況を随時伝えることができたりと様々です。この際、リアルタイムで状況が変わる可能性が考えられるため、電話のようなやりとりが可能になるIP無線は、活躍することが期待されます。 ※参考:国土交通省 https://www.mlit.go.jp/common/001034827.pdf

3、幼稚園バス等のスクールバス(円滑な連絡のやりとり)

長距離バスだけではありません。スクールバスでも活用することが可能です。幼稚園、学校のバスは決まったルートを走るので、道路状況等は出発時点で把握することが可能で、いざとなれば携帯で連絡を取ることが可能ですが、リアルタイムで連絡をすることでトラブルを回避することができます。また、迎えに行く予定の生徒が急病で休んでしまうことが判明した場合、無線で連絡をすることで生徒の欠席を判断することが出来ます。もちろん、ドライバー以外に先生が乗っていれば、スマホで連絡が取り合うことができますが、スマホ頼りの通信の場合、何かの影響でつながらないということも考えられるので、非常用として搭載しておくのも良いでしょう。

4、タクシー(商業目的での活用)

タクシーの無線は、現在アナログのものが多くいずれ移行しなくてはなりません。そこで注目されているのがIP無線を使用した運用です。IP無線のシステムを使用すれば、デジタル移行対策機器としても対応出来ます。また、タクシーでは最近スマホを活用した配車サービスを利用者が活用しています。そのため、タクシーのGPS機能は欠かすことが出来ません。従来の配車の方法は、〇〇地点に近いドライバーは、いませんか?と聞いて募るようなものでした。しかし、GPS機能を使えばタクシーの正確な場所を掴むことが可能なので、このような事態にはなりません。どのタクシーがどこにいるのかを瞬時に分かるシステムを活用することになるので、すぐに指示を出すことが出来るため効率的な配車が可能になります。また、災害時には、ドライバーに的確な指示を出すことで、走ることが出来ない道の指示を出すことが出来ます。しかし、携帯電話の回線を使うため、回線状況が制限されることがあるので、緊急時にはMCA無線に切り替えるといったガイドラインを定めておく必要があります。

5、緊急時に使用するために

事故や、火災といった不足の事態を想定して、無線機を常備しておくのも良いでしょう。IP無線機はハンズフリーのものがあるので、緊急事態を想定して携帯するもしくは、使える状態にしておくだけで、万が一の事態に迅速に対応することが可能になります。しかし、IP無線機は携帯電話の回線を使うため回線がつながらないと言われています。しかし、メーカーによっては災害時を想定したシステムを構築しているものもあります。その点を踏まえて購入する際は、電波が確実にキャッチ出来るものを選ぶようにしましょう。また、事故に巻き込まれた時にIP無線機を携帯していれば、連絡を取ることで自分の状況を伝えることが可能なので、社員の非常事態用の備品として考えると良いかもしれません。

通信出来る距離間について

携帯電話網の利用できる日本全国で使用が可能です。通信範囲は、従来のものよりも広域と考えておきましょう。従来の無線機であれば、最大2km が限界といった機器も多くありましたが、IP無線機の場合、中継機器を設置すれば2kmはもちろんのこと、広範囲をカバー出来るので、タクシーや運送会社にはおすすめと言えます。

IP無線機の特徴

IP無線機は、操作性に優れたシンプルな無線機から、スマートホンのような形状をした携帯型無線機まで、さまざまなタイプが販売されています。

耐久性を重視した無骨なデザインのトランシーバーから、デザイン性を重視したスマートホンのような携帯型無線機までありますので、使用シーンに応じて無線機を選択してみてください。

IP無線機のオススメ業種

運送業者、ホテル業者、警備関連、地方公共団体など実際に、どのように活用されているのか導入事例をご紹介しましょう。

1、消防団でIP無線を導入

従来の消防団の無線は、消防無線を傍受して活動をしていました。そのため、詳細の情報がわからず実際に出動するまでに時間がかかりました。しかし、IP無線を取り入れることで、相互コミュニケーションが可能になり、どのエリアで火災が発生したのか。という詳細の情報が行き届くようになり、円滑な出動が可能になりました。また、それだけではありません。火災現場でも、相互通信により消化活動をスムーズに出来るようになったのです。自治体では積極的にIP無線を取り入れている動きが続いています。東日本大震災以降、災害時の通信が整備されてきているので、今後も大震災時に活躍する期待がされています。

2、配送会社で導入し、スムーズに

ある配送会社では、従来の無線はMAC無線を使用していました。車載型のタイプで、車にいれば通信が可能でしたが、車を離れると通信しても傍受できないデメリットがありました。また、ビルや、地下道を走ると、通信が不安定で会話を聞き取れないといった問題も抱えていました。しかし、IP無線を導入してから、このような問題が解消され、スムーズな配送をすることが可能になりました。

これらの事例は、ほんの1部です。導入することで今までの問題を解決したというケースが多くあります。是非、検討してみてはいかがでしょうか。

用途別オススメ機種

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